ジャケットやコートの印象は、肩から腰、裾へと続く線によって大きく変わる。肩をどこまで広げ、腰をどれほど絞り、足元にどのくらいの量感を残すのか。同じ暗い色の装いでも、その配分によって立ち姿は異なる。

2026年秋冬のメンズコレクションから、Saint Laurent、PRADA、Dries Van Notenの3ブランドを取り上げる。肩、ウエスト、丈といった要素を手がかりに、それぞれがつくる輪郭と、その違いを読み解いていきたい。

Saint Laurent|肩とウエストのバランス

Saint Laurentで注目したいのは、肩の輪郭とウエストの絞りがつくるバランスだ。ジャケットの脇には緩やかな曲線が入り、パンツには幅を持たせている。Vogueのコレクション評でも、この彫刻的なジャケットのわずかなくびれと、幅のあるパンツが取り上げられている。

腰の細さは、構築的な肩やパンツの量感と並ぶことで際立つ。スタイルの1点だけでなく全身を見ると、どこに幅を持たせ、どこを絞っているのかが見えてくる。

肩と腰の造形や、ネクタイ・スカーフの使い方については、Saint Laurent 2026AW メンズレビューで詳しく取り上げている。

PRADA|丈と幅がつくる縦のライン

PRADAで注目したいのは、コートの長さとパンツの細さがつくるシルエットだ。冒頭のルックでは、膝下まで届くダブルブレストのコートに、細身のパンツが合わせられている。公式のショー解説でも、身体の形や姿勢を意識した、縦に長く精密なシルエットが示されている。

SAINT LAURENTとは対照的なミニマルなラペルを持ち、コートの裾は横に大きく広がらず、その下から細身のパンツが続くことで、全身の輪郭は縦に伸びて見える。長いコートでも、合わせるパンツの幅によって足元の量感は変わる。ここでは、その幅を抑えることが、上半身から足元へと続く縦の印象を支えている。

また、今季のPRADAでは特徴的なケープレットを先述のようなコートの上から被せることにより、非常に特徴的な肩のシルエットを作っている。このシルエットは後述のDRIES VAN NOTENでも見られ、今季を象徴するトレンドの1つと言えるだろう。

細身のコートと、その内側に見える色柄やカフスについては、PRADA 2026AW メンズレビューで詳しく取り上げている。

Dries Van Noten|腰から裾へ広がる輪郭

Dries Van Notenでは、腰から裾へと広がるコートの輪郭に目を向けたい。公式のLook 1では、腰まわりが細く見える濃紺のロングコートに、幅のあるデニムを合わせている。裾に向かって開いた前身頃の間からデニムがのぞき、下半身に量感が生まれている。

腰の位置で一旦細くなり、その下で再び幅を持つ。この変化が、長いコートの輪郭に抑揚を与えている。ポケットに手を入れた姿勢や歩幅も裾の開きに関わっており、コートの形と着方が重なって、この広がりをつくっていると読める。

更に別のルックを見ると、ケープから着想されたであろう丸みのある肩のシルエットが見てとれる。 今勢いのあるブランド達が提案しているこのシルエットは、明らかに2026AWの特徴的な流れと言えるだろう。

コートの輪郭と色柄の関係については、Dries Van Noten 2026AW メンズレビューで、具体的なルックを見ながら掘り下げている。

幅の配分で変わる立ち姿

今回取り上げたルックでは、Saint Laurentは肩と腰の幅の差、PRADAはコートの長さとパンツの細さ、Dries Van Notenは腰から裾への広がりが印象に残る。また、構築的な肩が提案される一方で、トレンドとしてケープのような丸みのあるシルエットも提案されていた。上着の形に、パンツの幅や着方が加わることで、それぞれの立ち姿が生まれている。

肩、腰、裾を順に追うと、似た色の装いにも輪郭の違いが見えてくる。気になるルックのどこに幅があり、どこで細くなっているのか。その変化を確かめることは、自分がどんなシルエットに惹かれるのかを知る手がかりにもなる。